BLという夢と妄想の世界へようこそ~読んだ本の話(ネタバレあり)~

BLをこよなく愛する腐女おばさんのブログです。

そうきますか。そっちだとは…ちょっとビックリだけど…いいよね。

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『3番線のカンパネラ』表紙

『3番線のカンパネラ』

京山あつき/著、祥伝社/発行

☆☆☆読んでみました☆☆☆

京山あつきさん、好きなんです。個性的な絵で、好き嫌いの分かれる作家さんだと思います。以前読んだ作品で、イケメンどころか、フツメンでもない男の子が主人公だったりしましたが、すごくいい話で大好きな作品があります。という訳で、『3番線のカンパネラ』も京山あつきさんの作品ということで、内容も確認せずに購入してしまいました。さて、どんな話でしょうか?

☆☆☆どんなお話なのかしら?☆☆☆

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『3番線のカンパネラ』より引用

ゲイの加納は、恋人と別れてから1年以上経つにもかかわらず、一人の時などに、ふっと寂しくなってぼんやりとしてしまうことがあります。その朝も、仕事に行きたくないなぁ~と思いつつホームを歩いていたら、高校生に腰に抱き疲れて「ダメです!」と止められます。

高校生は、加納が自殺するのではないかと思って、つい止めに入ってしまったということです。加納は自殺する気など全然なかったのですが、他の人にはそう見えたのかと、1年以上も前に別れたことに、まだこだわっている自分が嫌になります。

前の恋人と付き合っている時、上手くいっていたと思っていたのは加納だけで、いつの間にか恋人の気持ちは離れていました。そしていきなりの別れがやってきたんでした。その別れが今も辛くて、加納の傷ついた胸はふさがらずに、ぐちゅぐちゅしています。

そんな気持ちが知らず知らずに外に現れていて、高校生は加納が自殺すると勘違いしたのかもしれません。

それからは時々、駅で見かける高校生に姿に癒される加納です。夏服の白いシャツもいいな、などと考えながら仕事場へ向かう加納ですが、仕事場では店長に細かいことを注意されたりします。

店長は、加納のシャツのボタンが外れていることを、いつも注意する神経質で嫌な奴なのかと思いきや、実はいろいろなところに気を遣う、できた店長さんでした。そして何気ない店長の一言に加納はヨロめきそうになりすが、簡単にヨロめく自分を反省します。

そんな時、加納の店にLGBTの子がバイトとして入ってきます。別に加納はゲイだとは言ってはいないのですが、そのバイトの子の話とかをするようになって、いつの間にかよく話すようになって、そのうち夕飯を一緒に食べて帰るようになります。

店長はバツイチで、家に帰っても誰もいないので、深い意味もなく加納を誘います。加納も思いのほか、店長と一緒にいるのが居心地が良くて、期待してはいけないと考える自分がいます。そして頭の中でぐちゃぐちゃと考えてしまいます。

まぁ、その後、びっくりする展開がやってくるわけで、加納は高校生に癒されて、店長のことで嫉妬して、そして…ですね。そっちでしたか…。

やられた~、という感じです。

だって、表紙に後ろ姿ですよ~。最初の方は、男子高校生との話が続くのですよ~。店長が最初に出てきたシーンなんて、目がテンでしか描かれていなくて、モブ扱いだったのですよ~。それなのにノンケの店長にいっちゃいますか。

色々な葛藤の中、何度も一緒に食事に行くうちに、二人の気持ちはだんだん近づいていきます。店長、イケメンだし、高校生よりはいいと思いまうが…。

なんといっても、二人が最初にキスをするシーンがものすごく素敵なのです。

今までしゃべっていたのに、音がなくなって、ほんの少しだけ傾いて、外れたボタンから、すっと手を入れて首筋をさわって、静かにキスをする。

その動作一つ一つが良くて、じんとしてしまうのです。

BL作品で、嫌というほどキスシーンは見ているが、このキスシーンは10本の指にはいると思います。上手く説明できないので、もうこの本読んで下さい。お願いします。

☆☆☆エロ度はどうなのかしら?☆☆☆

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『3番線のカンパネラ』より引用

キスの後、そのままHになだれ込みます。ベッドの上で、焦りながらワイシャツを脱ぐところとか、二人でキスして抱き合ってとか、いう感じですが、もうそのワンシーン、ワンシーンがエロいのです。

その他に、紆余曲折あって仲直りした後のHですが、一緒にシャワーを浴びたりしてなかなかエロいのです。ベロチューもいい感じです。でも、このあたりのシーンを読んでいると、涙が出てきてしまうのです。幸せそうな二人に、エロを通り越して感動してしまって、何度読んでも涙がでてきてしまいます。

エロいけど、エロは期待しないでね。エロを飛び越えてしまっています。

☆☆☆読んでみた感想は?☆☆☆

最近のBLファンの方だと、京山あつきさんを知らない人も多いかもしれませんね。絵が個性的だし、今風のエロありきのBLとは一線を画しているので、好き嫌いの分かれる作家さんだと思います。京山あつきさん、地味だけど、いい作品を描いているのです。

『3番線のカンパネラ」も期待通りの作品でした。絵を言葉で表すのはとても難しいので、実際に読んで頂きたい作品です。

3番線のカンパネルラ (onBLUE comics)

3番線のカンパネルラ (onBLUE comics)