もう我慢することないんだよ。俺が抱いてやるよ。
『こっちむいて、愛』表紙より
『こっちむいて、愛』
みちのくアタミ/著、ふゅーじょはんぷろだくと/発行
☆☆☆読んでみました☆☆☆
『こっちむいて、愛』口絵より
表紙が淡い色合いで、こっちを向いた主人公の瞳に涙がたまっています~。この表情だけで、心臓をドキューンとされてしまいました。この表紙を見ただけで、もう買うしかないでしょう。みちのくアタミさんの初の連載作品のようです。
今、みちのくアタミさん、人気ですよね。絵が上手いし、話も面白いしということでしょう。この『こっちむいて、愛』も切なくて、胸が痛くなって、いいお話です。
☆☆☆どんなお話なのかしら?☆☆☆
『こっちむいて、愛』より引用。
鈴原の住むアパートは家賃が安い代わりにボロくて、なんといっても壁が薄くて、隣のHの声が筒抜けです。今日も、あんあんとあまりにも煩いので、壁をドンドンしたら、その後に鈴原の部屋にやってきたのは、上半身裸のイケメンです。
このイケメンが隣で女をあんあんと鳴かせていた西野なわけですが、この時に初めて二人は言葉を交わし、二人の関係は大きく変わっていくのです。
鈴原は実はゲイで、同じ大学の同級生に片思いをしていました。同級生は彼女がいて、お金がないから、鈴原の部屋でHをさせてくれ、などと信じられない頼みごとをするのです。普通、こんな頼みごとするのかしら?同級生のあまりにも配慮のない頼みごとに、昭和生まれの私は、イラっとしっぱなし。
でも、昭和生まれじゃない西野も、それを聞いてイラっとしていたので、イラっとするのは私だけではなかったのです。っていうか、普通は鈴原は断らないと駄目でしょう。
でも断れない鈴原が、切ないのです。
自分がゲイということで、今まで自分の気持ちや思いを押し殺して生きてきたわけで、同級生の申し出を断れないのも、自分の感情を隠して我慢することに慣れているからでしょう。
でも、自分の部屋で好きな男が彼女とHをしているということが、辛くて耐えられなくて、勢いで西野に抱いてもらうのです。西野はイケメンというこもあり、女を切らしたこともない「ヤリチン」ノンケですが、鈴原を抱いてしまいます。
Hの時の鈴原は、涙目になりながら鳴き続けて、エロいんですよね。西野もそんな鈴原にドキドキしてしまいます。
ノンケでヤリチンのくせして、その後も鈴原にちょっかいを出してくる西野が不思議でならなかった鈴原。それに対して西野は、鈴原に告白をします。なんと、鈴原が西野のことが好きなのではなく、西野が鈴原のことを好きだったのです。
えええ、そうなんだと思いつつ、実は西野は二人が最初に会話をする前から鈴原のことが気になっていたようでした。西野に告白されても、鈴原は同級生のことが好きだし、今まで自分の気持ちを押させこんで生きてきたせいで、どうしたらいいかわりません。つい意地を張ってしまったのですが、それによって西野は鈴原から離れていってしまうのです。
鈴原はそこで初めて気が付くのです。自分の気持ちに素直になることを。そして、きちんと言葉にしなくてはならないことを…。
☆☆☆エロ度はどうなのかしら?☆☆☆
『こっちむいて、愛』より引用。
かなりエロいですよ。とにかくエロい。Hのページ数も多いのだけど、具体的な表現が多く、エロいのが好きな方は堪らないでしょうね。
最初から電子書籍で発行されたものって、修正部分が大きくて、Hシーンが多くて、肝心の部分が修正で消されていて、何が何だかわからないという作品も多いのですが、『こっちむいて、愛』は雑誌に連載されていたせいか、修正が小さいのです。
だから、これ修正になっていないでしょう!というようなモロ見えのシーンもかなりあります。表題作の他の短編なんか、2/3がHシーンですから、恐れいります。
☆☆☆読んでみた感想は?☆☆☆
主人公の鈴原と西野は、二人ともイケメンで、みちのくアタミさんの絵が上手いので、カッコいいのです。鈴原は泣き虫で、すぐ赤くなるし、可愛くて、でもゲイであることに引け目を感じているところなどが切なくなります。
西野はイケメンで、軽薄そうに見えるけど、実は本当に好きな人には誠実な男でした。
二人の恋が上手くいって、書下ろしには二人の後日談があり、二人の甘々の日々が描かれていて、ついついニンマリしてしまいます。
お話もいいし、エロも盛り沢山で、BLファンであれば、必読の作品だと思います。