始まりは出会い系。そこから育っていく愛もあるのです。
『ジェラテリア スーパーノヴァ』『ジェラテリア スーパーノヴァ royal vanilla』
キタハラリイ/著、竹書房/出版
☆☆☆読んでみました☆☆☆
『ジェラテリア スーパーノヴァ』が出会いから付き合うまでを描いていて、『~royal vanilla』が、その後を描いたものです。
題名が同じだったので同じ内容かと思って、本屋さんで何度も確認してしまいましたが、内容は違う本でした。(当たり前か!)
ということで、さっそく読んでみました。
☆☆☆どんな話なのかしら?☆☆☆
大学生の里谷は、出会い系で出会ったサラリーマンのセフレがいます。適当に選んだ相手で、一回限りと思っていたのに、気が付けば半年続いています。
週末、里谷の部屋で抱き合って、夜を一緒に過ごすことなくセフレの政田は帰って、決して泊まることはありません。
里谷は、そんな政田にだんだん物足りなさを感じてきます。朝まで一緒に過ごしたい。本当の名前は何?。普段はどんな仕事をしているの?とか、政田のことが知りたくて仕方がなくなってきました。
里谷は、中学時代に自分の性癖になんとなく気が付くも、特に誰を好きになるというこもなく、大学時代に出会い系で知り合った、やはりサラリーマンで初体験を済ませました。今は顔を思い出せないほどです。
恋もしたこともない自分が、本当の名前も知らない出会い系で出会ったヤルだけの男に本当に惹かれているのか?好きなのか?
だけど、相手は自分のことをただのセフレだとしか思っていないはず、と悩んで、どうしていいかわかりません。苦しくて辛くて、もうこのへんで二人の関係を終わりにした方がいいのではないかと考えつつも、自分では終わらせることができません。
いつもは朝まで過ごすこともないのに、その朝、里谷が目覚めるとベットの隣に政田が寝ています。それがうれしくかったのに、その朝を境に政田とはぷっつりと連絡が途絶えます。結局、二人を繋いでいた関係を断ち切ったのは、里谷ではなく政田だったのです。
いつの間にか芽生えていた政田への恋心。それを伝えることなく政田はいなくなり、里谷は失恋という痛手を抱えながらも、就活などの毎日の忙しさに日々を送っています。
そういえば、政田と出会ったのが去年の春の終わりで、気が付けば桜の季節で、見上げれば桜の花が満開です。政田といつも待ち合わせしていたのが、里谷の部屋の近くのジェラート屋「スーパーノヴァ」でした。店の前のベンチに座って一人でジェラートを食べています。ひらひらと桜の花びらが散ってとてもきれいですが、里谷の心はまだ傷ついたままです。
そこへ現れるのが、政田です。ここにいれば里谷に会えると思って待っていた、と言います。それを聞いて里谷は「先に切ったのは自分のくせして」と怒りを露わにします。一旦離れて冷静になって考えてみて、やっぱり里谷に会いたかったから、またここから始めたいと政田は言います。
でも、これって大人の言い訳に過ぎません。里谷は再び現れた政田が、出会い系ではなく新しく始めよう、という言葉に騙されてしまいますが、なんかね、読んでいる私はちょっともやもやだな。
自分のことばかり考えて、里谷のことなど考えずに、里谷の前から姿を消した政田。里谷が苦しんだり辛い思いをしているとは考えられなかったのかしら?と思ってしまいます。大人はね、いかようにも自分の心をごまかして生きていくこともできますが、大学生とかのひよっこが、失恋によってどれほど傷つくか考えられないかな、と大人の私は考えてしまうのですが。
政田がね、社会人で大人だけど、実に子供っぽい気がします。でもね、惚れた弱みでね、里谷はそんな政田を許して、最初から二人の恋のやり直しをするのです。
『~royal vanilla』は、二人のその後を描いています。最初の巻が、主に里谷側に立って描かれていましたが、こちらは政田側に立って描かれている作品です。
最初からいかに里谷のことが好きだったとか、今でもぞっこんであることなどが描かれていますが、しかしまたもや大人げない嫉妬から里谷に酷い態度をとってしまいます。政田は、イケメンでクールな大人という感じですが、実はダメダメな大人ですね。ここは里谷が大人になって、政田をリードしていくしかありません。
二人の末永い幸せを祈っています。
☆☆☆エロ度はどうかしら?☆☆☆
エロいですよ~。読んでいる時は、Hシーンが多いと思っていたのですが、パラパラとめくって見てみると、そんなに多い訳じゃないのです。ただ濃厚なシーンが多いので、Hシーン自体が多いと錯覚してしまいましたが、実は濃厚だっただけでした。
BLには、Hが肝心!という方も大満足だと思います。
☆☆☆読んでみた感想は?☆☆☆
キタハラリイさんは、初めて読む作家さんです。今風な画風で、今風な話ですね。
絵が時々、雑になっている部分があり、それがちょっと気になりますが、それ以外はいいと思います。2冊目が、その後の二人ということで、少し大人っぽくなった二人で、髪の毛が少し短い政田もいい感じです。
2冊目が出て、二人が幸せになったところも見られて、読後に満足感がありますね。それにしても、上手くいってよかったなぁ~としみじみ思いました。